1つの通りに3種類の光
大通りの中央に並ぶ最も明るい光は電気式のアーク灯で、1897年にはまだ目新しい設備でした。ピサロは冷たい白色の光球を青で縁取っています。脇の商店は暖かなガス灯に照らされ、客待ちの馬車にはさらに小さな油灯がともります。三つの照明技術が、同じ濡れた街路に共存しているのです。
雨も重要です。反射した光が舗道の上に長く伸び、青、金、オレンジの帯へと変わります。右手のヴァリエテ座はひときわ明るく輝いています。灰色で終わりそうな夜景は、近代都市が夜に独自の色彩を生み出す様子を探る作品になりました。
一つの窓から描いた十四点
ピサロはドルーオ通りのグラン・オテル・ド・リュシーに部屋を借り、同じ窓からモンマルトル大通りを描きました。雪、雨、霧、靄、日差し、朝から夕暮れまで、1897年に十四点が制作されています。そのうち夜景は本作だけで、ナショナル・ギャラリーによれば、ピサロが生涯に描いた唯一の夜の絵でもあります。
同じ視点を繰り返したのは、単なる反復のためではありません。天候、交通、光が絶えず風景をつくり変えます。窓の位置を固定することで、街路そのものを変えずに、それらの差を比べることができました。
絵具の点と線で組み立てた都市
少し離れて見ると、大通りは人で混み合い、深く奥へ続いて見えます。近づけば、歩行者も馬車も反射も、素早い絵具の点や筆触にほどけます。屋根と舗道の力強い対角線がざわめく画面をまとめ、通りがサン=ドニ門へ遠ざかるにつれて中央付近で交わります。
六十代後半のピサロは、屋外制作を難しくする眼病に悩まされていました。高い室内からの眺めは、むしろ利点になりました。大通り全体を見渡し、路上に立つ人には見えない群衆の模様を捉えられたからです。
出典と参考資料
- ナショナル・ギャラリー、作品・カタログ情報絵画、大通りシリーズ、照明、視点。
- ナショナル・ギャラリー、今月の一枚街路とその灯りを詳しく解説。
- ナショナル・ギャラリー・オブ・アート『フランスを描く』ピサロの都会的なホテルの窓シリーズの背景。
