静止と飛翔、三つのかたち
一羽のハチドリは枝に止まり、もう一羽は花のそばで羽ばたきながら静止し、三羽目はさらに奥の霞の中に浮かんでいる。それぞれの位置は一つの連なりを作り出すが、科学的な図解にはなっていない。ランの巻き上がる花びらは翼や尾に呼応し、植物と鳥をともに繊細で宙づりの造形の変奏へと変えている。
野外調査から幻想へ
ヒードは1860年代にブラジルを訪れ、『ブラジルの宝石たち』と題する予定だった図鑑のためにハチドリを研究した。彼は標本や生息環境を丹念に観察したが、ランとハチドリを描いたこれらの絵は後になって構成されたものである。描かれた種、花、そして大気が、実際に一つの瞬間で出会っていたとは限らない。
身近に引き寄せられた熱帯の世界
19世紀の多くの画家たちは、熱帯の風景をパノラマ的な規模で描いた。ヒードはそこに近づいていく。湿った大気や遠くの植生は残されているものの、注意は一輪の花と三羽の小さな鳥のまわりに集められている。この手法は驚異の感覚を生み出すと同時に、熱帯の自然が北の観客のために収集され、分類され、運ばれていった時代を映し出してもいる。
実物大で描かれた小さな出会い
ヒードは手前のランと鳥たちを、じっくり観察できるほど近くに引き寄せる一方、霧はブラジルの森の奥行きを隠している。一羽のハチドリは止まり、他の鳥たちは羽ばたき、あるいは向きを変え、花のまわりに三通りの異なる集中の状態を生み出している。輝く喉元の羽とランの淡い花の構造は、湿ってかすむ空気の中で、緻密に描かれた焦点として際立っている。
この場面は一瞬の奇跡をそのまま観察したように見えるが、実際には野外での経験とアトリエでの構成とが組み合わされている。ヒードはブラジルを旅してハチドリを丹念に研究し、その後、種と演劇的な光、そして凝縮された生息環境とを結びつけた絵を制作した。この画面は驚異の感覚を誘うが、同時に19世紀の、自然を収集し分類する習慣をも映し出している。この創作された森の一角には、親密さと見世物の両方が共存している。
出典と参考資料
- ナショナル・ギャラリー・オブ・アート 所蔵作品情報作品情報、ブラジルへの旅、図鑑計画、そして種について。
- ナショナル・ギャラリー・オブ・アート、マーティン・ジョンソン・ヒード美術館による画家の経歴と熱帯の主題についての解説。
