ほとんど何も起こらない
運河は画面下端から入り、低い石橋へ続きます。右の建物は弱い黄灰色の光を受け、左岸は葉と影になります。空には淡い星が五つあります。強く燃える灯りも、場面を支配する月も、追うべき物語を持つ人物もいません。
行動がないこと自体が作品の主題です。カザンは実在の町だと分かるだけの建築を残し、通りと水の普段の音を取り除きました。静けさが完全であるために、かえって奇妙に感じられます。
水が第二の町を作る
運河は淡い壁を映しますが、正確な複製にはしません。縦の形は暗い水面で崩れて伸び、橋は近い水と遠い空間を分ける細い境界になります。そのため画面下部の大半は、揺れる色へ変わった建築です。
カザンのほぼ正方形の画面は、運河が地平へ急速に走るのを防ぎます。屋根、木、石の中間帯を挟んで、空と反射が上下で均衡します。水は奥への道を示しても、構図は見る人をその場に留めます。
アトリエで思い出されたアブヴィル
クリーヴランド美術館は、町をフランス北部のアブヴィルと特定します。カザンが育ち、周辺の海岸と田園を描いたブローニュ=シュル=メールから遠くありません。画家は地域をよく知っていましたが、完成作は真夜中の運河脇でそのまま写した報告ではありません。
カザンは記憶に基づくアトリエ制作を好みました。パリのエコール・グラテュイット・ド・デッサンで学び、後に人へ教えた方法です。思い出して描く時、細部を全て写す代わりに関係と空気を保つ必要があります。この過程が、場面を具体的かつ単純に見せているのでしょう。
旅をした夜景
真夜中は1891年のパリ・サロンに出品されました。2年後にはシカゴ万国博覧会で、月光とアブヴィルを名に含む長い題によって展示されました。初期の展示歴は、静かなフランスの運河が米国の収集品となり、やがてクリーヴランド美術館へ入った経路を示します。
美術館は雰囲気をほとんどシュルレアリスム的と表現しますが、作品は運動としてのシュルレアリスムより前のものです。この比較は様式名ではなく経験についてです。家、水、星はよく読めるのに、その沈黙によって、目覚めた世界が一時停止した場所のように感じられます。
出典と参考資料
- クリーヴランド美術館 コレクション記録作品、アブヴィルの場所、記憶による方法、雰囲気、教育、展示歴。
- オルセー美術館 作家記録カザンの経歴、年代、風景画家と陶芸家としての活動、教育。
- オルセー美術館 ジャン=シャルル・カザンの作品カザンの風景、素描、装飾作品に関する美術館コレクションの背景。
